MET LiveViewing. AIDA

更新日:2020年11月8日

MET Liveviewing Aida

2012年12月15日に上演されたメトロポリタンオペラ Aida を1/28に横浜109シネマズで聴きました。このシリーズのことは以前から知っていましたが、映画館の大音量が耐えられないので見送っていました。が、今回は大好きなAidaだし、敬愛するLuisiさんの指揮なので寒風をついて出かけました。

指揮 Fabio Luisi  演出 Sonja Frisell 

Aida /Liudmyla Monastyrska.  Radames /Roberto Alagna   Amnelis /Olga Bolodina Metビューイングアイーダの序奏は弦楽アンサンブルのごく微細な音から始まった.この序奏で既に心打たれるものがあった。 幕開きから3分で歌うラダメスceleste Aidaではいつも問題のある最後の部分を楽譜通りにピアノ3つで歌われた。そしてそのあとオクターブ下のF でvicino al sol と追加して歌われた。これはピアノでの歌唱を失敗したときのためのセーフティーな役割を果たしていると思われた。メトの伝統だそうな。このように歌わせるのには指揮者の意向が働いているはずだ。Alagnaはこのアリアでラダメスの声は集中力を欠き、前半特にアップダウンがキョロキョロした形でごくごく普通のテノールの感じであった。しかし2幕に入ったあたりから段々と声は輝きを増し、明るく力強い姿になっていった。 主役の3人の中ではAmnerisが群を抜いて良かった。落ち着いてとても良い発声で柔らかく、しかも音楽的にキャリア豊富な面を端正に表現して地位と権力に恵まれながらも最愛の男には愛されない女の悲哀を見事に表現してすばらしかった。しかし後半の高音の伸ばしが少したりないところが3回ぐらいあって印象を薄くしてしまったのは惜しい。 アイーダを歌ったロシア人はキエフ出身のソプラノ。最初とても硬いおデブちゃんで力に任せた高音でこの役にはとてもそぐわないと思っていたがそのうちに徐々に体が緩み終盤ではピアノも聴かせられるようになった。腰掛けて歌うとやはり気張りが少なくて良い声が出る。 指揮者のFabio Luisiは繊細で構成力もとてもしっかりしてるし音楽的である。心に秘めた情熱を抑え気味にもって行ってから爆発させるところを心得ていて、まさに素晴らしいアンサンブルを現出していた。 舞台や衣装は想像していたよりもさして華麗なものではなくむしろ抑え気味の色合いだし、演出的にも動きが乏しく私には、大したビューイングの世界ではないように思えた。 特にカメラワーク編集がほとんど素人のような形で動きすぎて音楽の緊張感を損ない、躍動感も乏しく、行進やバレエの場面などかえって視覚的に盛り上がりを欠くこととなっていた。 舞台に馬を3頭、ろばを2頭使ってそれはそれで楽しい舞台ではあったがそれ以外はさしたる豪華さはなくこれならばむしろ日本の新国立劇場のオープニングで行われたアイーダの方がすなわちヴィスコンティの弟子であるゼッフィレッリの演出、美術の方がずっとよかった。(なお新国立劇場ではこの三月に開場15周年記念で再演する。) 終幕、地下に閉じ込められて死を待つAidaとRadames、その上で嘆くAmneris、序奏の時と同じように極くファインな弦楽の後奏で消え入るようにオペラが終わった。聴き終わって改めてヴェルディの音楽、オケと声のアンサンブルの素晴らしく印象深く光ったOperaでした。  Fabio Luisiさんの実力にまたまた感じ入りました。

心配していた映画館の大音量については、オペラ本体の演奏の時には杞憂だった。耳栓を用意していたのだが。インタビューや他の場面ではやはり大き過ぎる。

このシリーズの良いところはライヴなので本質的にやり直しがないところ。メトの聴衆はこの日には平土間でも黒服、正装を殆ど着ていない。ロンドンもそのようだったが、ウイーンのオペラに慣れている身にはオペラで行われることについては聴く側にもそれなりの覚悟をしてしっかりした身なりで聴いて欲しいものだ。少なくともパルテレ(平土間)の客にあっては。もう一つ、音楽が終わりかけ幕が下りる直前の一番良いところで拍手がきてやや興ざめとなる。演出の責任でもあろうが余韻を共有する時間が大事なのは言わずもがなであろう。

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