ウイーン国立オペラ2番目の演目は「トスカ」。
今年のオペラステイのメインは、わが Piotr Beczalaのカヴァラドッシです。
指揮 Marco Armiliato
演出. Margarete Wallmann
Tosca. Nina Stemme
Cavaradossi Piotr Beczala
Sacrpia Carlos Alvarez
「あなたも昨日の「トスカ」聴いたでしょ?Cavaradossiが「星は光りぬ」 をアンコールしたわよね。私はよくここへ来るけどあんなの初めてだったわ!」
翌日の「アイーダ」で 隣りの席の豪州から来たという上品なマダムが感に耐えたように私に言いました。
私はここウイーンでオペラを800回は聴いているけど、彼女に言われてみて、なるほどアリアのアンコール、は格式の高いこの劇場では初めての経験でした。
ベチャワBeczalaのアリアに拍手鳴り止まず。
彼の歌唱は期待どおりでした。むやみに声を張らず(Vittoriaはすごかったけど) 説得力のある歌唱だった。 演技も品があってきれい!
動きも歌も本質的に同じなので、良い音楽を出す歌手は芝居もナチュラルです。
再度のクラリネットのアリア序奏はpppで始まった。テノールは2度目のこのアリアを全く新しく、情感豊かに歌い切りました。
トスカは大柄なスエーデンのソプラノ。力づくで出してくる直線的な歌。
肩が強張っていたので弱声が自由に出せない。 演技ははっきり言って下手で、何より品が無く、この女をなぜスカルピアが横取りしようとするのか分かりません。
スカルピア。前半は声が伸びて来なかった。それで、1幕の終盤は盛り上がらずだった。2幕でやっと本来の声が出て来て聴いている方も安堵。動きはヴェテランらしく上手い。
興味深かったのは終幕屋上シーンでの獄守りの芝居。
死刑の場での主人公に対するあっけらかん、日常の冷めたようなやや茶化したような動きは、却ってこの悲劇性を浮かび立たせた。
Piotr Beczalaを私が初めて聴いたのは 2012年の6月 のEdgardo 「ルチア」です。 代役の若手指揮者でややだれ気味だったオペラが彼が歌い出して場内の雰囲気が一変しました。端正で暖かく、柔軟な中に強靭なものがあるその歌唱でストーリーが俄かにリアリティ-をもって聴き手に迫って来ました。
2013年にRodolfo 「ボエーム」、2017年にNetrebko,Zhidkovaとの共演で「アドリアーナ・ルクヴルール」いずれも素晴らしい出来でした。
興味深いのは彼は南ポーランドに生まれて、オーストリアのリンツ、それからチューリッヒの劇場でのキャリアです。ドイツ語圏での劇場を通してモーツアルトも歌えるし、イタリアものも超一流という歌手は滅多に出るものではありません。
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