ウィーン国立歌劇場は2018~19年のシーズンをこの6月に終えて夏季休暇に入っています。
私は6月の後半に、昨年に引き続いてここのオペラを4演目見ることができました。
「愛の妙薬」、「トスカ」、「アイーダ」、「オテロ」です。
いずれもイタリアオペラですがこれらの情報をお届けします。
ウイーンのオペラでは各自の席の前にタブレット大の小さな画面がある。
そこに最近では日本語で即時に歌詞が出る。歌詞は最長が3行で、活字が大きく出てきてとても見やすい。
舞台と音楽とを楽しみながら、内容が簡単に正確に理解できて楽しめます。
「愛の妙薬」
指揮 G .Carcia Calvo
演出 Otto Schenk
歌手 Caroll,
Pirgu,
Hasselhorn,
Rumetz,
コメディータッチのこのオペラ、ともすれば安易なストーリーと見られがちだが 、席の前にあるタブレットによってイタリア語の歌詞の内容が細かく捉えられると、実はシーン毎それぞれに、含蓄深い対話が音楽と一体となって素晴らしい高みに連れてってもらえるのだ。
私は何度も、ここでこのオペラを聴いているが昨晩はこれはつくづく本当に良いオペラであることを再認識させられた。
指揮は中堅のCalvo、大上段に振りかぶることなく、淡々と日常の中での物語作りに徹したように見えた。
Adina credimi! 「アデイーナ信じてくれ!」とか重要場面には細心の注意が注がれ、登場人物の内面をしっかりと伝えた。
Adina)Caroll
容姿と演技 声と演唱ともにこの役にぴったりはまっている。
清潔な声質と表情豊かな語り口で聴衆を魅了。
Nemorino )Pirgu
登場はじめからごく自然な発声と演技で愛する人に受け入れてもらえないNemorinoの苦しみを表現。
Durcamaraに薬をもらって勇気百倍したのだが彼女が軍曹とすぐに結婚すると聞いて絶望。そして彼女が見逃していた真実に気がつきネモリーノを本当は愛していたことに気づいて事態が急展開するストーリーに説得力があった。
オペラでは声の見せびらかしをするのではなく、人物をそのまま伝えることが最重要課題だという当たり前のことをしっかり教えてもらえた。
弱声から最強音まで柔らかく通る彼の技術は確かなもの、作曲者の意図するネモリーノ像を現出した。音楽性も素晴らしい。
重唱やアリア、それにカーテンコールで一番の喝采を浴びた。
Belcore )Hasselhorn
大柄な体格で演技もうまいのが肝心の声に伸びがない。しかし準主役としては合格点か
Dulcamara )Rumez
演技と歌い方にもう一つ抜け出せないもどかしさを感じさせる演唱だったが。
指揮とAdina 、Nemorino がとてもの素晴らしいパフォーマンスでDonizettiイタリアオペラを堪能できました。
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