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Satoshi Hasegawa

2013 ウィーンオペラ Don Carlos / La Bohéme

更新日:2020年11月8日

Don Carlos    4月21日/2013  ウイーン国立オペラ

 指揮 Bertrand de Billy.   演出 Peter Konwitschny


Philippe 2.   Kwangchui Youn

Don Carlos.  Jean-Pierre Furlan. stat Yonghoo Lee

Rodrigue.    George Petean

Grand Inquisteur

Mönch

Elisabeth de Valois

Eboli


タイトルロールのLeeが病気のためにジャン-ピエール-フルランが代役出演。本来ならば韓国の歌手2人が主役で登場だった。この代役のテノールは細い発声で声に精彩がなく、Fを皆押してしまって音楽づくりも低空に留まった。ロドリーゴ役は無難であったが聞きどころの二重唱はテノールが良くないので酷い出来だった。

Filippoは終盤のアリアなど要所に弱声を交えながら淡々とした表情の中にも良い声を聴かせて存在感を出した。また二人の主役級女性はいずれも声が硬くて、広がりを欠いた。

昨年の同じ舞台のイタリア語版では、指揮と歌手の上質な音楽によってあまり目立たなかったのだが、当世風の服装、無機質な舞台が音楽と全く噛み合わず、5:30から10:30までの上演がひどく長く感じられた。指揮はこの曲に思い入れがあるかのように意図的なものだった。だが肝心のヴェルデイの音楽スタイルが感じられずまるで別時限の音楽のようだった。昨年五月にここで聴いたDon Carlos イタリア語版の上演とは大違いで残念だった。


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La Bohème     4月23日/2013  ウイーン国立オペラ

指揮:Andris Nelsons      演出,舞台:Franco Zeffirelli


Rodolfo      Pietr Beczala

Mimi           Kristine Opolais

Marcello     Marco Caria

Schonard   Adam Plachetka

Colline        Dan Paul Dumitrescu

Musetta      Anita Hartig


昨年の5月にここでベチャラの素晴らしい「ルチア」のエドガルドを聴いた。私の今回のウイーンへの旅の目的はやはり彼のオペラを聴くことであった。26日にも同じ演目があって、そのチケットは日本で確保出来ていたのだが、この日のものは日本で買えず、ウイーンに入って探し回ってもSold Out と言われるばかり。この日の午前中オペラの前を通りかかった時、ダフ屋に偶然声を掛けられた。背に腹は変えられず殆ど三倍の言い値でロージェ三列目を買った。私の年ではやはり立ち見席にするにはきつい。入るまでにまた並ばねばならないから。でもこれが結果的に大正解だった。六人入るボックス席で二列目の一人が欠席。三列目には留まったがダフ屋の言うとおり、オーケストラ席の真上で舞台も良く見渡せた。主役級の歌唱をじっくり真近くで観察出来たのだ。

アウフタクトの動機による音楽でいよいよ開幕である。

舞台は見慣れたゼッフィレッリ、この日で340回目の上演。この回数は凄い!。Rodolfoはいきなりフルテンションの歌唱である。

Marcelloも気合が入りオーケストラも負けじと立ち上がりの良い音響。舞台は汚い屋根裏部屋だが豊饒なプッチーニの音楽が溢れ出した。

ベチャラの歌は端正である。音色は暖かく、伸縮性があって美しい。高い声は細めではあるが充分であり全体の表情はとても明るい。中声部でのリラックスした歌い回しは例えようもなく美しく、正しい道を歩む人のそれがあって説得力を持っているのだ。

Vargas のRodolfoもやはりそうであったことを思い出す。7,8年ほど前だったろうか、Domingoが指揮をした公演であった。Marcello、悪くはないがも一つ声に強さが欲しいところ。ショナールは体格の良い新人だが声は身体に比例しない。甲斐氏がこの役をここで歌っていたがもう卒業かな。Colline,kこの人はいつも喉に突っかかりがある。もっと朗々と歌い回して欲しい。さて体格の良いMimiである。かなり強い女としての役作りをしているように見受けられた。立ち居振る舞いがあまり優しくないのだ。が、徐々に調子を上げてきて三幕の雪の場面の告別はよく歌った。小さく歌ってもメカがきちんとしていれば思いは伝わるのだ。Musettaおキャン役ながら重要な役どころ。丁寧にさして華美には持って行かずよく歌っていた。

さて指揮者であるが、身振りが大きすぎて、大げさな表現になることが多い。イタリアものをウイーンフィルが演奏する時に時々変なフレージングが出ることがあるがそれを防ぐに丁寧なアクションが必要なこともあろう。私が一番感心したのは4幕のRodolfoとMimiが二人きりになる場面'Sono andati?'以降のテンポについてである。ここを落ち着いてゆったりとした回想場面にもって行けるとオペラ全体が素晴らしい説得力を持つのだということを教えてもらった。

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