Fabio Luisiファビオ ルイージさんの公開レッスンを聞いてきました。
藤沢の自宅から1時間足らずで着く新百合ヶ丘のテアトロジーリオです。
メトロポリタン歌劇場の首席指揮者がこんな近いところで公開レッスンをやってくれるなど思いもよらないことです。
私がルイージさんを初めて聴いたのは10数年前のベルリンです。彼のオペラ指揮は音楽が身震いするほど素晴らしく、私はそれ以来すっかり彼の大ファンになりました。
最近ではウィーンでファルスタッフを聴いています。
昭和音大選りすぐりの歌手たちの出演で殆どイタリア留学経験者。昭和音大はかつての東京声楽専門学校とか藤原歌劇団と関係が深くイタリア系に強みがあって、3年前に逝去されたロッシーニのスペシャリスト アルベルト ゼッダさんもここに指導に来ていましたので私も公開講義に出かけたことがあります。招聘はそういった関係ですね。
ご覧のようなプログラムはあまり一般に知られていないではないロッシーニ、ベッリーニのアリアと重唱です。
Luisi さんの指導は音楽の流れを止めないで懇切丁寧、温かい雰囲気の中で進められた。作曲者の意図した表現、とりわけ旋律の歌い方に重点が置かれて日本人が苦手なコロラトゥーラへの注意、テンポの設定が課題でしたね。
彼の指導によって歌い手たちはみるみるうちに声が生き返り存在感を増して表現力が豊かになって素晴らしい音楽となって表出されていきました。
彼のすごいところは世界的な指揮者でありながら
偉そうにするところが微塵もなく終始一貫、
音楽に仕える下僕のように謙虚な態度なのです。
満席の聴衆にはそれが素直に伝わって、最後にはマエストロへの敬意に満ちた拍手が鳴り止みませんでした。
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