オペラ「連隊の娘」再上演初日 4月28日 /2013 ウイーン国立オペラ
Guillermo Garcia Calvo | Dirigent 指揮
Laurent Pelly | Regie und Kost&演出、衣装、
Aleksandra Kurzak | Marie, junge Marketenderin
John Tessier | Tonio, junger Bauer
Carlos Alvarez | Sulpice, Sergeant
Kiri Te Kanawa | Duchesse de Crakentorp
Aura Twarowska | Marquise de Berkenfield
Marcus Pelz | Hortensius
坊主頭の若いこの指揮者 については去年の同人の振ったルチアが良くなかったのを思い出して 、折角のウイーン最期のオペラなのにこれは参ったなとネガテイヴに思ったのですが、案に相違してこの日は出だしから好調で頭が動かず、昨年のような大きなフリではなく、コンパクトに清潔に音楽を紡ぎ出したのでびっくりです。よく歌う勉強を積んだようで、曖昧なところはほとんどなく、何より歌の旋律を大事にして、歌手が歌う弱声でも、高い音をないがしろにせず、透明感をもってオーケストラを抑えていたのが印象的でした。
マリーは声の立ち上がりがそれほど良くないタイプですが、その分透明感はあり、ノーブルな音色があります。そうした特質を駆使して歌うのにオーケストラがうまくついていきました。最高音は頑張らずに伸ばし続けていて、それでお客はOKです。動き方が大胆で姿も良くて得をしている。
トニオはカナダ出身、中高音ではどうということない地味なアメリカのテノールのようだったが、高音に移ると突如、明るく素晴らしい音色となった。高音を歌ったアリアの後ではしばらく拍手が長く続いた。
テ・カナワは最盛期を過ぎたソプラノが歌う べき、かつてはカバリエが歌った、いわば顔見せ といった役柄だが、ノーブルで通る声と優美な身のこなしでお客を喜ばせた。
アルバレス のバス役は声も演技もうまくて舞台を締めた。
特に特筆すべきは演出。大勢の兵士を音楽的に動かす。しかもリアリティーの反対側。音楽とピッタリあった人物の動きが相乗効果で奥の深い舞台となった。女中たちの大胆で超緩慢な掃除の場面とか、兵士たちの中に埋まって歌うマリーのうたなどなど。最後におもちゃっぽい戦車を繰り出しても違和感が出ない面白さだった。
全体に音楽はシンプルで透明感に溢れて良かった。何より指揮者が歌手の歌を大事にしていてドニゼッティの音楽をよく描き出し充実した連隊の娘となった。
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