2012 ウィーンオペラ Don Carlos

更新日:2020年11月8日

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Don  Carlos 6月25日  

 19日にプレミエがあってその二日目の公演。

オペラの最終場面、Carlosが、天の使いに導かれて暗い舞台の後方に現れた明るい光の中に進んで行く、これを見送る歌手陣、このオーケストラ この豊潤な音は一体何者だろうか? これは確かにこの世のものではなかった。確かに!

指揮 Franz Welser-M?st

演出 Daniere Abbado


Pape,Vargas,Keenlyside,Halfvarson,Dumitrescu

Stoyanova,D'Intino


指揮のWelser-M?st を私は既にこの8日ここでToscaを聴いているが、オーケストラが彼の棒で奮い立つのがよく感じられた。一見ひ弱そうにもみえる風貌からは想像できないほどしなやかでありながら、強靭な音楽をも表出できるのだ。このDon Carlos は中盤がやや冗長となりがちな曲であるがそれらを全く感じさせないほど歌い手とオケ、合唱を統率した。ピアノやデイミヌエンドで繊細なVerdiをも聴かせてくれるのである。

タイトルロールのVargas 。気品のある端正なテノールは健在。

彼が歌い出すと、テノールというのはこのような発声でこのように音楽的に歌うものだと瞬時に思い起こさせる今や貴重な存在である。

中高音までは全く素晴らしいが、高音の連続だとやや声が埋もれてしまって惜しい。後半良くなるかと思ったが、Verdi での力みが作用するのか?

Ebori を歌ったD'intino 。mezzoでは珍しく恐ろしい声を出さない歌手である。滑らかな歌い回し、伸びる低声、sotto voceも上手い。彼女の歌っているのを聞くとひょっとしてこのオペラが Ebori が主役だったかと思わせるほど。高音がやや包まれてしまうのが惜しい。

しかし充分な存在感でCarlosを想う哀しみが伝わって来た。


KeenlysideのRodrigo はただ圧巻であった。弱声から最強音、高音も全く素晴らしい。演技も良いし、他の歌手を除けようとしたり、しゃしゃり出ないのも好ましい。彼が自分のBlog に三日前のプレミエについて堂々と書いていたりするのを読むとこの歌手の才能ぶりに唖然とするばかりだ。通常はどの分野であってもPlayer が批評を書いたりはしないものだが。


Stoyanova  ここではネッダなどを何回か既に聴いているが。声はよく飛んでくる。が、肩や胸の筋肉の音が交じって来るのでわたしにとっては落ち着けない。あるシーン、横になって歌ったがその時はまことに透明な良い声が出ていた。指揮者の要求する、上行していって高音をピアノで歌ったのちに下降してくるフレージングもよくこなしていた。


Pape  これはミスキャストではなかろうか。声はよく出るが、出したい出したいの思いが強く、若過ぎる。声も演技も。三幕の大事なアリアに愛する妻への思いと、自身の老いの哀しみなどが出てこないのだ。

この歌手は低声もよく歌える。役作りがこれからだろう。


この他査問官を歌った dumitresku が出色の出来栄え、これは心理面などを出す必要のない役のせいでもあるが。


◉ここの所ウイーンオペラで頒布されるプログラムが大きく厚くなって来ている。

そして今までは独、英、仏、日本語のあらすじだったが、新たにイタリア語とロシア語が

加わった。分厚く重いこのプログラムを日本に持ち帰るのが少し辛い。


◉ 毎年6月のオペラは暑さで聴衆も出演者も大変でややだらけてしまう嫌いがあったが、17日にVolksoperのCarmenにいったらエアコンがかなり効いていてびっくりした。係りのものに聞いてみるとここ2,3年来とのことだった。しかしStaatsoperはまだ暑い。2 rang loge 1 列目で聴くことが多いがやはり上着が脱がせてもらっている。半袖にネクタイなら問題ない。オペラハウス内の紳士は大抵この時期上着を脱いでいる。


さて今日はこれから ウイーン滞在最後のオペラです

Licia di Lammermoor


指揮の Bruno Campanella がとても楽しみです。

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