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声の音色について

更新日:2020年11月8日

声の音色について


 声楽を学ぶ人の常として、自分が好きな歌手の録音や本番を聴いて、その音色の真似をしたくなるものです。しかし音色を似せることは陥りやすい間違いです。


 それは他人の顔に自分の顔を似せて化粧をするようなものです。人はそれぞれ違う個体なのですから、基本的に別の個性であって、声帯模写のように表面的に音色を作って似せたとしても、本質的な高みには行けません。


  私も学生時代には、当時バッハの受難曲の福音史家パートやモーツアルトのオペラで活躍していたE・ヘフリガーのレコードやステージを夢中になって聴いていました。彼のストイックな声に、音色から歌い方までかなりのめり込んでいて、喉を固くしてしまったことがあります。当時交際中だった妻の由紀(メゾソプラノ)は「F・ヴンダーリッヒの方がずっといいのに」としきりに言っていて、本当はそちらが正解なのでしたが。

  自分の声を自由に正しく出して行くことができて初めて、その人の本来の音色が出現するものです。それができてからこのことを理解できるようにになります。

 声楽の上達は自己流では無理です。それは自分が出している声が自分には骨伝導を通してしか聴こえないということに起因します。よい声楽教師の指導を受けて正しい発声ができるようになります。また教師の側からは、正しい声を出させてやって、その人の本当の声を実現させることこそが声楽指導者の重要な使命です。



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